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あらすじ
脚本:クリストファー・マッカリー
配給:アスミック・エース
公開:1995年8月16日(日本では1996年4月13日)
上映時間:106分
この映画のテーマは、謎に包まれた伝説的ギャング『カイザー・ソゼ』は誰なのか?実在するのか?です。
マフィアの麻薬密輸船が爆発し、そこから多数の銃で撃たれた遺体が見つかります。
そしてその事件で一人だけ無傷で生き残った詐欺師で左側の手足に麻痺があるヴァーバル・キントを尋問してストーリーは進んでいきます。
尋問の中でキントと一緒にマフィアの麻薬密輸船を襲ったのは以下の5人
- ディーン・キートン(ガブリエル・バーン)
- ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)
- マイケル・マクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)
- トッド・ホックニー(ケヴィン・ポラック)
- フレッド・フェンスター(ベニチオ・デル・トロ)
この中の誰がカイザー・ソゼなのか?
そもそもカイザー・ソゼとはキントが作り上げた空想上の人物なのか?
キントの尋問(回想)によってストーリーが進み最後に大どんでん返しの結末を迎えます。
キートンが放った『脚の感覚がないよ』
映画冒頭でキートンがカイザー・ソゼらしき人物に向かって『脚の感覚がないよ』と言います。
これは左足の感覚が麻痺していたキントを皮肉った言葉だと推測されます。
ようするに冒頭でカイザー・ソゼはキントだと我々に匂わせてくれているわけですね。
冒頭ではキントは登場しませんから、この時点では脚の感覚の意味も分かりませんが、その後左手足の麻痺したキントが現れます。
カイザー・ソゼは誰なのか?という映画のテーマの前の出来事になりますので、1回目からここの伏線に気づいた方は凄いです!
ちなみにキートンはこの後、カイザー・ソゼによって銃を2発撃たれて死にます。
キントの作り話に出てくる『コバヤシ』『グァテマラ』『イリノイでカルテット』『レッドフット』
映画最後にクイヤン捜査官が部屋に貼られていた無数の紙(ウォンテッドなどと書かれた紙もあったことから警察の捜査に関する調査書)を見て驚愕します。
キントが尋問中に話していた『コバヤシ』『グァテマラ』『イリノイでカルテット』などのワードがその紙たちに記載されていたんです。
ここでキントの話しが全て作り話であることが判明します。
特に『コバヤシ』の使い方はエクセレントでした!
尋問中にクイヤン捜査官が使っていたマグカップの底に『KOBAYASHI Porcelain(コバヤシ陶器)』と記載されていることを見て、キントが咄嗟にカイザー・ソゼの右手になる人物にコバヤシと名付けました。
映画でもキントがクイヤン捜査官のマグカップの底をのぞき込むシーンがあることや尋問前にキントが捜査室をキョロキョロしている様子も伏線の回収という観点から面白い。
キントの話しが作り話だと分かってクイヤン捜査官がマグカップを落として『コバヤシ』の謎が判明しましたが、この時のマグカップの底を見せるシーンが最高でした。
カイザー・ソゼは左利き
キントの話しではカイザー・ソゼが左利きであるというフレーズが所々に散りばめられています。
ただ、冒頭のキートンのやり取りの中で時間を聞かれたカイザー・ソゼが腕時計で時間を確認するシーンがありますが左腕に金の腕時計をしているんですよね。
一般的には、左利きの人はリューズ(時刻・日付調整などを行うゼンマイ)の操作性から右腕に腕時計をします。
ただ、これは絶対ではないですし、左利きの人が左腕に腕時計をすることもあるので、カイザー・ソゼの利き手を証明する決め手にはなりませんが・・・
しかし、冒頭でカイザー・ソゼがキートンを殺す時に左手で銃を放っています。
これはカイザー・ソゼが左利きであることを証明するのに十分な証拠となるでしょう。
このように左利きのカイザー・ソゼと左手足の麻痺したキントが同一人物であるという臭いを消している点もこの映画の秀逸な点です。
映画の最後に、それまで麻痺していた左手足が通常になり普通に歩くことでキントがカイザー・ソゼである伏線を回収するわけですが、この時のライターは左手で使っています。
こうゆう細かい所がこの映画の見所なんですね。
ちなみに、中々口を割らないキントにクイヤンが胸ぐらを掴みかかるシーンがありますが、これをキントは麻痺している左手で払っています。
これは明らかにキントのミスですね。
ここにクイヤン捜査官が気づいていれば、尋問中にカイザー・ソゼはキントという答えにたどり着けたのかもしれません。
キントのライターとカイザー・ソゼのライターが同じ
キントが保釈される場面で『金の腕時計』と『金のライター』を受け取っていますが、これは映画冒頭のキートンを殺す時にカイザー・ソゼがしていた腕時計とライターと同じです。
ちょっとクセのあるライターなので、ここでの伏線の回収は分かりやすいですね。
カイザー・ソゼとは『おしゃべり皇帝』
最後に『カイザー・ソゼ』の意味についての伏線の回収。
カイザー・ソゼとはカイザー(ドイツ語やオランダ語で皇帝・帝王)、ソゼ(トルコ語でおしゃべり)という意味です。
なのでカイザー・ソゼとは『おしゃべり皇帝』という意味になります。
映画の冒頭で面通しが終わって5人が初めて顔を合わせた時にキートンがキントを『しゃべくりキント』だと紹介していますね。
ソゼ(おしゃべり)と掛けてキントの愛称になっていました。
『しゃべくりキント』とはキートンが付けた愛称ではなく、以前からのキントの通り名になっていました。
まとめ
私はユージュアルサスペクツを合計3回見ましたが、見るたびに発見(伏線)があることに気が付かされます。
こうゆう映画って中々ありませんよね。
オチは分かっているのに、もう一度見たいと思わされるのって。
間違いなく20世紀を代表する映画の一つと言ってもいい作品でしょう。
少々古い作品(日本での公開は1996年)ではありますが、サスペンス系が好きな方は満足できる映画になると思います。