【ネタバレ】月に囚われた男感想(低予算のアイディア作品に拍手)

あらすじ


設定は現代ではなく近未来です。

地球環境の保護の為に月の裏側で掘り起こした太陽エネルギーを含有する石からHE3(ヘリウムスリー)を作り出す新エネルギーを開発するクリーンエネルギー供給会社であるルナ産業に務めるサム(サム・ロックウェル)が月で採掘された石を地球に送る仕事を一人宇宙で行っています。

宇宙での仕事は3年の契約ということで、契約満了まであと2週間と言うところで、サムが不注意によって採掘車に衝突してしまいます。

この事故によってサムが死んだとガーティ(宇宙船にいる人工知能)が判断したことによって、クローンのサムが宇宙船に出現し、宇宙船に二人のサムがいるという事態が発生します。

二人のサムがルナ産業の腹黒い部分を徐々に見つけて、なんとかして月から脱出しようと企てる、SFストーリーです。

クローンの寿命は3年

月に囚われた男感想『クローンは3年契約』
サムの不注意によって、呼び起こされたクローンサムの登場により、サムは自分もクローンであることに気が付きます。

このクローンの流れですが、ルナ産業が人件費の削減の為にクローンで新エネルギー採掘作業員確保の為に、3年経過すると地球に送り返すために数日寝るように指示されますが、ここでクローンの役目は終わり、新たなクローンが呼び起こされるという仕組みです。

サムが3年満了に近づくごとに歯が抜けたり吐血したりする様子から、クローンの寿命は呼び起こされてから3年であることが推測されました。

じゃあ肝心の本物のサムはどこにって話しですが、ストーリーでは登場しませんでした。

おそらくクローン作製の為に、宇宙船の別室(クローンがたくさんいる部屋)で人体モデルとなっているんじゃないかと思います。

宇宙で暮らして12~3年経っていた

月に囚われた男感想『宇宙で暮らして12~3年経っていた』
宇宙船内は通信が妨害されて地球との交信ができないので、宇宙船から離れたところからサムは自宅に電話をかけます。

そうしたら電話に出たのは15歳になったイブでした。

このことから、最初の記憶(最初に月にやってきたサムの記憶)のイブがまだ満足に話せない2~3歳の頃から12~3年経過していたことが判明します。

また、サムの妻は死んでいてしかも再婚していた事実まで分かってしまうというかなりショッキングな内容になっています。

サムが3年間ビデオメッセージでやりとりしていた妻と子供はルナ産業による作り物だったんですね。

これに関しては、ビデオメッセージ中にいきなり場面が変わったり切れたりして、サムも不審ががっていました。
伏線を回収する流れですが、このへんはちょっとチープさを感じてしまいました。

低予算でも密室空間を最大限に活かしたアイディア作品

月に囚われた男感想『低予算でも密室空間を最大限に活かしたアイディア作品』 
月に囚われた男ですが、実はなりの低予算で作成された映画になります。

予算が500万ドルしかなかったことから(通常のSF映画の予算はだいたい3,000~5,000万ドル程度です)、製作日数を33日にしてキャストの数も必要最小限にしています。

また宇宙船と月のシーンしかない限られたシーンも宇宙という閉ざされた空間ということを利用しています。見ていて疑問を感じませんでした。

まさに、低予算を逆手にとったアイディア作品と言ってよいでしょう。

ただ、この手の密室作品は好き嫌いがかなり分かれます。

月に囚われた男には、いかにもお金を使った派手なシーンがないので、途中飽きる人もいるかと思いますが、アイディア勝負の作品が好きな人にはおすすめの映画です。

そうゆう意味では、ひたすら棺桶で右往左往するリミットが密室系の極みですので、アイディア勝負の作品が好きな方はぜひリミットもおすすめします。
⇒ 【ネタバレ】映画リミット感想(棺桶で始まり棺桶で終わる)

ガーティ(人工知能)がかわいい

ガーティ(人工知能)がかわいい
サムの宇宙船内での唯一の話し相手は人工知能であるガーティですが、このガーティなんとも可愛らしかった。

こうゆうあっすペンス系に出てくる人工知能ってシステムが組み込まれていて、『月に囚われた男』の場合だったらサムに月での仕事を疑いなく行ってもらうように、少し腹黒い感じが予想できましたが、ガーティは全然そんなことない!

ひたすらサムのことを想って声を出してくれて、時にはサムのケガの応急処置までやってくれちゃいます。

またガーティのアイコンがシンプルなにこちゃんマークなんだけど、悲しいことがあったら泣きます(可愛すぎる!)

私以外にもガーティに心をやられている人は多いのではないでしょうか?


作品の中でのガーティの名言ものっけておきますね。

僕が君を守るよ

おやつの時間だね、チョコレートでいいかな?クッキーもあるよ。紅茶でも入れようか。

おはよう。今日の君の調子はどうだろう。素敵な朝を迎えられているといいのだけれど。それじゃあ、いってらっしゃい。

月に囚われた男のオチ

月に囚われた男オチ
アイディア勝負の作品で大切になってくるのがオチ、いわゆるラストの部分です。

では月に囚われた男のオチはというと、クローンサムが月で採掘された石を地球に送る小型宇宙船で地球に帰ってルナ産業の悪事を報告し復讐するというものでしたが、オチが残念な印象でした。

地球でのシーンはなく、音声のみでルナ産業の株価が落ちたことやクローンは排除すべきだとの音声があって終わりました。

個人的にはやっぱりクローンサムが地球に帰って、自分の家族と再会したり、クローンである自分が生きられる世界となっている描写がほしかったですね。

ストーリーは中々面白かったのに、低予算のしわ寄せがダイレクトにオチに響いていました。

まとめ

月に囚われた男感想まとめ
月に囚われた男は2009年に公開された映画で結構前評判が高かったので期待していましたが、そこそこと言った感じでした。

ただ密室系が好きな人は見てもいいのかなって感じです。

おそらく2009年当時としては衝撃の作品だったんでしょうね。

ビデオメッセージの粗だったり、サムが初めて自分のクローンと対面したときも案外すんなり受け入れてしまったところなどにチープさを感じてしまいました。

当時の名作であった感はありますが、現代ではあまり目新しさは感じませんでした。