あらすじ
脚本:クリストファー・ブラウン
製作国:アメリカ合衆国
公開:2015年
上映時間:123分
1974年フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は誰も考えついたことのない挑戦をすることを決意する。
それは高さ411m地上110階のツインタワー、マンハッタンにそびえ立つ2棟構造の高層ビルワールドトレードセンターの屋上と屋上の間にワイヤーロープを張って命綱なしで渡っていくこと。
ザ・ウォークはそんな無謀なことを本気で成し遂げようとする男の物語です。
原作は『マン・オン・ワイヤー』
ザ・ウォークの元(原作)になったのは2009年に公開されたドキュメンタリー映画『マン・オン・ワイヤー』になります。
マン・オン・ワイヤーでは、本物のフィリップ・プティが実際にノートルダム寺院を綱渡りするシーンや映画では描かれていないオーストラリアの鉄橋の間を渡るシーンも収録されています。
マン・オン・ワイヤーでは、フィリップだけでなくフィリップの彼女へのインタビューや実際にワールドトレードセンターの綱渡りを見た人達のインタビューもまとめられています。
マン・オン・ワイヤーは『アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞』や『英国アカデミー賞英国作品賞』など、数多くの名誉ある賞を受賞しています。
マン・オン・ワイヤーの中でフィリップ・プティ本人が綱渡りに対する意気込みを以下のように語っています。
夢を実現させる中での死なら、それも美しい
ロマンに満ち溢れている方ですね。
ただ、ザ・ウォークでフィリップを見ていると、自分の夢を叶えるために自己中心的だしワールドトレードセンターの綱渡りではチームを自分の手下の様に振舞うなど、好意的な感じは受けませんでした。
そこがとてもリアルなんですけどね。
手に汗握るのは綱の上だけじゃない
『ザ・ウォーク』ワールドトレードセンター綱渡りのシーンだけが取り上げられていますが、私は綱渡りに至るまでのシーンがとっても好きでした。
ワールドトレードセンター間のロープ張りの為に、ワールドトレードセンターに忍び込み見回ってくる警備員の目を盗んで慎重に作業する。
綱渡りのシーンと同じくらいこっちも緊張しましたよ(笑)
『ザ・ウォーク』を単なる綱渡りドキュメンタリーではなく(ドキュメンタリーはマン・オン・ワイヤー)、きちんと見る側を楽しませてくれる演出も好きでした。
ちなみに『ザ・ウォーク』では、フィリップを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットがストーリーテラーとして演出しています。
途中ちょっと憎たらしい表現もしますが、悔しいかな、それも楽しかったぜw
夢を叶えた男の爽快感が最高
かなり度肝を抜かれたのが、ワールドトレードセンターの綱渡り中に向こうのビルまでもう少しというところで、折り返した所。
そして、また戻ってきたら再度ターンしてまた綱渡りを再開している所。
極めつけは地上411mのロープの上で横になっちゃう所。
ロープと一体となっているというよりも人間が空を飛んでいるかような錯覚さえ覚えました。
ただ、すごくそのシーンは爽快感がありました。
そして横になった綱の上でフィリップはこう言います
横たわった僕の目の前には空しかなかった、それと雲
まるで音楽だ
夢のテッペン(頂上)で、この映画の一番の見所でした。
ちなみに実際にフィリップがワールドトレードセンターのロープの上にいた時間は45分にも及ぶそうです。
映像は残念ながらCG
ちなみに当たり前ですが、綱渡りのシーンはCGになります。
※ワールドトレードセンターは2001年の9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件によって崩壊しています。
ただ、ココも凄い所なんだけど全然CGに見えないんです!
これはCG映画の巨匠ロバート・ゼメキス監督の褒めどころでもあります。
ただ、フィリップ役を演じたジョセフ・ゴードンはフィリップ本人から綱渡りの指導を直接受けて、映画で使われている綱渡りのシーンを実際に綱渡りしているそうです。(もちろん低い場所で)
これから映画を見る人にはCGでの綱渡りシーンということで少し残念に感じてしまうかもしれませんが、そんなCG感を一切感じさせない作品ですので、これからも見る方も安心してください。
ジョセフ・ゴードンが好きな方は、ブルース・ウィリスとのダブル主演映画『ルーパー』も面白かったのでおすすめです。
まとめ
実話が元になった映画ってあんまり好きじゃなかったんですが『ザ・ウォーク』は、元ネタがそもそも映画のストーリーみたいなんで、ストーリーの広がりとかドラマチックとか気にする必要なかったです。
映像も綺麗だったし映画としてのストーリーも面白かった。
ラスト、ワールドトレードセンター上で横になって夢見心地なフィリップを上空の鳥の存在によって現実に引き戻され一気に不安になるといった波もドキドキハラハラな演出として最高でした。