ジョーの明日あらすじ
『ジョーの明日』は辰吉丈一郎さんのドキュメンタリー映画ではありますが、情熱大陸やカンブリア宮殿と言ったドキュメンタリー映画とは一味違います。
阪本順治監督が、時系列に沿ってひたすらその時のボクサー辰吉丈一郎さんにインタビューをするドキュメンタリーです。
ただインタビューしてるだけ、良く言ったら辰吉丈一郎さんの素のままが24歳から44歳までの20年間ぶんひたすら流れます。
絶好調のチャンピオンの時や同じ相手に負けた時のどん底の時、ボクサーを引退して復帰した時など、その時の辰吉丈一郎さんが描かかれています。
その間には息子さんが二人誕生したり、父親が亡くなったりなどのプライベート面での変化もありましたが、『ジョーのあした』では阪本順治監督が辰吉丈一郎さんの20年間の変化をインタビューを通して作品にしている映画になります。
プロフィール
1989年 | プロデビュー |
1991年 | 徳丸るみと結婚 |
プロ8戦目で世界王座奪取に成功 『網膜裂孔』の診断を受け手術 長期の休養に入る |
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1992年 | 長男寿希也(じゅきや)誕生 |
ラバナレスと王座統一戦 9回TKO負け |
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1993年 | ラバナレスと再戦 暫定王者奪取 『網膜剥離』が判明 JBCルールにより引退の危機に |
1994年 | JBC管轄外のハワイで復帰戦 JBC特例で国内試合を許可 薬師寺保栄と王座統一戦 JBCの引退勧告を拒否 |
1995年 | ラスベガスでノンタイトル戦 2試合を強行 |
1996年 | 次男寿以輝(じゅいき)誕生 |
WBC世界ジュニアフェザー級 11R TKO負け |
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1997年4月 | WBC世界ジュニアフェザー級 ダニエル・サラゴサと再戦 フルラウンド判定負け |
1997年11月 | WBC世界バンタム級王者 シリモンコン・ナコントンパークビュー戦 7R TKO勝ち |
1998年 | ホセ・ラファエル・ソサ戦 ポーリー・アヤラ戦 2度の防衛に成功 |
1998年12月 | ウィラポン・ナコンルアンポロモーション戦(3度目の防衛戦) 6R KO負け |
1999年1月 | 父 辰吉粂二 死去 享年52歳 |
1999年8月 | WBC世界バンタム級王者 ウィラポン・ナコンルアンポロモーション戦 挑戦者として2度目の対戦 7R TKO負け 翌日 引退を表明する |
2000年 | 所属する大阪帝拳を離れ一人トレーニングに励む |
2002年12月 | 復帰第1戦 元WBAフライ級王者セーン・ソー・プルンチット戦 6R TKO勝ち |
2003年 | フリオ・セサール・アビラと対戦 10回判定勝ちを収めるも左足を負傷し、再び長いブランクに入る |
2008年 | タイにてパランチャイ・チュワタナ戦 2回 TKO勝ち |
2009年3月 | タイにてサーカイ・ジョッキージム戦 7回 TKO負け |
何度も『引退』のに対する質問に答える
『ジョーのあした』では、阪本順治監督が何度も『引退はしないの?』との質問を辰吉丈一郎さんに投げかけています。
その都度、辰吉丈一郎さんはその時の言葉で答えていたのが印象的でした。
テレビの辰吉丈一郎さんは負けん気が強くて、ちょっと恐い印象でしたが、インタービュー中にはとてもリラックスした様子で弱気な発言もされていました。
特に若い時にダニエル・サラゴサに2度連続して負けた時には、『もうバラバラ』『いくらやっても届かない』などの発言もされていました。
そして映画の最後辰吉丈一郎さんが44歳になった時のインタビューで『何度も引退の話しをしてうっとしかった?』と阪本順治監督が聞くと『監督だけじゃない、みんなその質問するもん』と、笑顔で対応されていました。
辰吉丈一郎さんの器の大きさを感じました。
謎の習字に例えると
このドキュメンタリーの要所要所に阪本順治監督が現在の状態を習字で例えると?という謎の質問をされていました。
これに対して辰吉丈一郎さんは
24歳の時は、墨をすってる状態
世界チャンピオンの時
25歳の時は、墨をこぼした状態
ウィラポンに2度負けた時
34歳の時は、する墨を垂らしてる状態
足を痛めて長期ブランクの時
44歳の時は、墨を置いてる状態
対戦相手が見つからず悶々と練習に明け暮れている時
と、語っていました。
忘れた頃に習字に『例えると?』と質問されて、辰吉丈一郎さんがいつもハニカンデ答えているのが可愛く感じました。
両親に対しての思い
辰吉丈一郎さんは、幼いころから父子家庭で1歳頃に母親とは離れて暮らしていたそうです。
その為、辰吉丈一郎さんは実の母親の顔も名前も知らない状態だと言います。
育ての親は父親の粂二(くめじ)さんになり、ボクシングを始めたきっかけも、粂二さんが家でサンドバックを使って練習していたことで自分もボクシングを始めたとおっしゃっていました。
粂二さんが亡くなって数年経ってから阪本順治監督さんが、お父さんはどういう人でしたか?と辰吉丈一郎さんに質問していました。
分からん
分からんほど凄い、うちの父ちゃんは
お父さんから言われて心に残っているものは?の質問に対して
一番になれ
そしたら見る景色が変わるから
と答えていました。
母親に対して言いたいこは?の質問に対しては
産んでくれてありがとう
と答えていましたが、親ではない、と特別な感情はないとおっしゃっていました。
粂二さんに対する尊敬と愛情がヒシヒシと伝わってくるシーンでした。
辰吉丈一郎の名言
辰吉やったら面白いですよ
だから、生まれ変わりたいとかは全くない
後悔ではなく反省をする
僕と2回試合をしてくれてありがとうございます
※サラゴサに対して試合後のコメント
一応、僕の職業ですから
職業でもあるし、好きやからやってる
人から奪われるものではないと思っています
これだと思ってやってきて世界チャンピオンになれて、それはもう嬉しいこと
でも実際ほんまに自分の生きてきた生涯で一番嬉しいって言ったらやっぱり自分の子供が生まれたことでしょ
今に集中してたら、後々のことはそんなに考えられないでしょ?
ウィラポンに2回負けた辰吉が引退で、次いつ何年後にできるか分からないんですけど、そん時はボクシングをデビューしようかと
だから、次僕がやる時はデビュー戦です。
不安とか悩みとかそんな対して考えることはないけど、1年後2年後自分がボクシングに対して描いている事に対して、なってなかったら恐いなって思う
自分が何戦したかとか分からないです
興味ないかな
僕から言わすと練習できる環境とスパーリングする相手と試合をコンスタントにこなすことができれば、なんも引退する必要はないんですよ
辰吉家に産まれてめっちゃ楽しかったですよ
まとめ
『ジョーのあした』は面白いとか為になるとか、そうゆう類のものではなく、ボクサー辰吉丈一郎ファンは必ず見ておくべき映画だと思います。
サッカーの世界にもキングカズこと三浦知良選手が50歳になった現在も現役でプレーされていますが、同じように自分の美学を貫く姿勢を感じました。
インタビューが主な映像になりますが、時系列で20年間ぶんのボクサーの人生がギュッと詰まったような映画になっています。
ほんと憧れるわー
カッコいい!!!!
奥さんのるみさんは、少しだけしか登場しませんが、奥さんもまた素敵な方なんですよね。
次男の寿以輝さんは無事にプロデビューを果たし2018年5月現在では7戦7勝という戦績で父親越えの日も近いかもしれませんね。
辰吉丈一郎さんの活躍と共に寿以輝さんの活躍にも注目です。